ことばの木 言語聴覚士の日記 ~障がい児との関わり~

~障がい児との関わり方や療育についてのお話し~

海遊びで療育

今回は私が大好きな海での療育のお話をしたいと思います!!

 

私は本職とは別に海での療育を行っています。

え?海での療育って何? どんな効果があるの?って話を説明しようと思います。

 

 

~マリンプログラム~

 私がお手伝いに行っている施設での海の療育はstand up paddle board(以下SUP)やカヌーを使用する療育や、ビーチで魚を捕まえたりする療育を行っています。

 

SUP:まずSUPとは最近流行ってる海のアクティビティで、サーフボードの様な物の上に乗ってオールの様な物を使用して漕ぐアクティビティです。

カヌー:ボートの上に乗ってオールを使用し漕ぐアクティブティです。

ビーチ散策:ビーチでカニやシーグラスを探したり、シュノーケルを行いながら魚を捕まえたり、釣りをしたりします。

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では、どのような効果があるのでしょうか・・・

☆SUP:SUPに乗るためにはバランス能力や、漕ぐための運動企画が必要になってきます。バランスを取るためには前庭覚が必要で、漕ぐと固有受容覚が入り、行きたい場所を確認するため視覚を使用し、水に入るため触覚が感覚として入ります。このように、色々な感覚を一度に入れることができます。

 

☆カヌー:基本的に入る感覚はSUPと同じですが、安定感が違うため、バランスが取れない子や、麻痺がある子を乗せたりします。

 

☆ビーチ散策:岩場を歩く時に使うバランス能力、海に落ちないようにや、怪我をしないようにする危険認知、生物の多様性や、命の大切さの勉強、海水の触覚、海やバランスの取りにくい砂場で歩くときに入る固有受容覚、鳥の鳴き声などを聞く聴覚など、色々な運動能力や認知力、感覚が入ります

 

☆項目別

①身体機能:基本的に岩場や足元が見えない場所での行動をすることが多いため、運動企画向上や、姿勢平衡反応が養えます。また、SUPやカヌー等の操作を行うことで、手と目の協調性身体両側の協調性の向上のコントロールを養えます。

 

②感覚機能:海や砂浜では、砂や水などの触覚、波などの前庭感覚、オールを漕ぐときや水の中で歩くときの固有受容覚、魚などを目で追う視覚、水の音や鳥の声などを聞く聴覚などいろいろな感覚が入ってきます。感覚を入れることで運動や情緒の反応を向上させます。

 

③コミュニケーション能力:集団で行動するときや、スタッフとの関わりの中で協調性自己制御機能を育んだり、行きたい場所などをアピールする時に、自己表現能力を育むことができます。

 

④精神機能:海で浮かんで、リラックスすることで副交換神経優位になり、ストレスの軽減につながります。他には、色々なアクティビティにチャレンジすることで、自己肯定感の向上にもつながります。

 

次にどのような子がどのように反応するのかを事例で出したいと思います。

①多動

 私が関わっている多動の子は、室内では動き回って止められなかったり、衝動性が強くて、すぐに物を触ったり人に手が出ることがありました。しかし、ビーチに出ると、転ぶのが怖いのか、ゆっくり歩いたり、スタッフとしっかり手を繋いで行動することができてます。SUPでは、スタッフが少しでも離れたらすぐにスタッフを呼ぶなど一人で勝手にどこかに行く行動が減少しました。

 

自閉スペクトラム症

 感覚が全般的に鈍麻な子が、海に入ると刺激が沢山入ってきて嬉しそうにテンションが上がったり、陸では中々見られない景色や感覚が入るため表情が豊かになったり、声が出ない子が声を出したりします。また、海に落ちるのが怖いのか、人と距離を取る子がスタッフにくっついたりします。また、他児と一緒に水を掛け合ったり、魚を一緒に捕まえるなど集団で遊ぶこともあります。

 

ダウン症

 ダウン症の子は筋力が弱い子が多いです。マリンプログラムを行う中で、SUPやカヌーから落ちないようにバランスを取ったり、波に流されないように踏ん張ったりするので、無意識に筋力トレーニングができます。また、集団遊びも参加して遊ぶことができます。

 

④ことばが出ない子
 私が良く行うアプローチの中で、SUPに乗せてバランスを取ってもらいながら、行きたい場所を指示してもらい行くようにしてます。指差しや声を出してもらったり、相槌を打ってもらうなど、子によって対応は変えます。行きたい場所がある子は頑張って指示をします。指示した場所に行ってもらうことで成功体験を経験してもらい、人と関わる第一歩になり、そこから言葉が出るようになることもあります。

 

 

海遊びのリスク

 海で療育・遊ぶ際にはリスクがあります。急にどこかに行ったり、予測してない行動を起こしたりします。そのため、目を離さないこと、すぐに助けれる場所にいること、危険な生物はいないかの確認、怪我などの手当のやり方を覚えているのも良いと思います。

 

 

※最後に、海で遊ぶ・療育する際の注意点を書きます。

①怪我の可能性

 海は非日常な場所です。足元も見えないこともあるし、鋭い石や貝、ゴミなどがあるところです。そのため、転んだり、転びそうになって手を着いた時に怪我をすることもあるので、滑る場所には極力行かない。カメノテなどの鋭い貝や岩がある場所も注意しましょう。

 

②危険生物

 クラゲやカサゴオニダルマオコゼ、ウミヘビなど毒のある危険な生物やウツボの様に噛まれてしまう危険生物がいるので、岩場や海などでシュノーケルや海水浴をする際は周りを見渡すのと、できたらゴーグルで海底の確認をして安全な場所で遊びましょう

 

③目を離さない

 急に動き回ったり、目を離しただけでいなくなることがあります。なので海では目を離さないようにしましょう。

 

④安全管理

 私が海で療育をする際はマリンシューズ・ライフジャケットを着用することを絶対にやってもらってます。また、長い袖の水着、ラッシュガードなども着用して怪我をしないように気をつけましょう。

 

海では、遊んでいるだけでも色々な感覚が入ってきます。そこに療育視点をプラスし、遊びを広げたり、入れてあげたい感覚を入れるだけで成長の手助けになると思います!!

 

以上、海遊び・療育のお話でした!!

質問や、こんなことを書いて欲しいなどあったらコメントやtwitterもやっているのでコメント、DMをください!!

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