ことばの木 言語聴覚士の日記 ~障がい児との関わり~

~障がい児との関わり方や療育についてのお話し~

発達障がい児への性教育

 私が今まで働いている中で、月経が始まった子や公然の場で自慰行為をする子などがいました。また、思春期を迎える子や迎えた子に対しての性教育をどのようにするのかが課題になってました。性教育をしっかり行うことで、外での自慰行為の抑制や将来、体に変化が現れてもパニックにならない様になります。また、性虐待やイジメなどを受けにくくなったりもします。

 性教育を正しく行うことでどのような変化があるのかを書いていきます。

 

※今回の記事はセクシュアリティな表現が含まれています。

 

 では、なぜ性教育が必要だと思いますか?                  

 それは、性虐待を防ぐためや、逆に性加害を防ぐためです。

 え?障がいを持ってる子が性犯罪の加害者になるの?って思いました?

 なんと被害者・加害者になるんです!!

 

 では、下記の記事を見ていきましょう!!

 

 まず、加害者になる話から

 これは、問題行動を起こす理由の考え方と似てます。子どもは経験・体験してないことを行動に起こすことはほとんどありません。なぜ、人を殴ったり、文句を言ったりするのかと言うと、生活の中や動画、TVなどで見て学んでいるのです。

 

     体験学習  →  行動化

 人を殴る動画をみる → イライラした時に人を殴る

 

上記の様に、性についても大人から正しい知識を習わないと、何かしらの情報を鵜呑みにして、実際に行動してしまう可能性があるのです。

 

      体験学習 → 行動化

 レイプの動画を見る → レイプをする       

 

 今の時代、スマホやパソコンですぐにAVなどの動画を見れる時代です。またその中には強姦などの犯罪まがいのシーンを写しているものや、そこから恋愛に発展するなどと現実離れした話が含まれていることがあります。

 

 それを見て、「これが恋愛なんだ!!」「こんなことで女性は喜ぶんだ」と思ってしまい実践するのです。本人はこれが正しいと純粋に思って行動してしまい、警察に捕まることもあります。

 

 このようなことを防止するためにもしっかりと性教育を行いましょう。

 

 ちょっと横道に逸れます。

 

 性虐待を防止するための話です。

 日本の性被害者ってどのぐらいいると思いますか?

 内閣府の調査では、女性は7.8%、男性は1.5%とされています。

 この中で、未成年の被害者は女性約40%、男性約51%です。

 次に加害者との関係性は知らない人約12%、18歳未満の被害者は監護者(親や身近な人)約23%といった内容で、年齢が低くなるほど知ってる人が加害者の割合が増えていきました。

 

 しかし、これはアンケートに答えられる人の結果で、知的障がいなどがあり、アンケートに答えられなかった人が沢山いる可能性があります。

 

 また、性被害にあっても人に相談できないことがあります。それは、「その話をすることが恥かしい」や「口止めされてる」、「心配をかけたくない」などがあります。この中でも「心配をかけたくない」が一番多いそうです。

 なぜ、「恥ずかしい」と思ってしまうのでしょう?なぜ、性被害にあってしまうのでしょう?これも、性教育をしっかりできてないからなのです!!

 

 

 では、なぜ、適切な性教育を行うことで性虐待の防止になるんでしょうか?

 今回の性教育のやり方は、科学的な観点や医療的な観点を使用して行います。それを行うことで、身体への関心を引き出し、身体の自尊感情を育てることができます。

 

 身体への関心を引き出す→自分を大切にしたいと思う

 身体の自尊感情を育てる→イジメ、性虐待を受けにくくなる

 

 また、悪い大人の間違った情報を受け入れない様に教えます。「好きな人は体の関係を持つことが当たり前なんだよ」など

 しっかりと性教育を行うことで被害者や加害者になることを防ぎます。

 

 

 では、どのように教えていったらいいのでしょうか?

 

  まず、お話をする前に「今から大切なお話をするんだけど、お医者さんになって聞いてみて!!お医者さんは体のことを沢山勉強しないといけないから、エッチな言葉でも笑わずに聞くんだよ!!」のように、真面目に聞くように促します。

 

①プライベートゾーンの名称は学校や家でも揃えるようにしましょう。

 障がいを持っている子は同じ場所なのに違う名前(胸→おっぱい等)だとパニックになります。それを防止するためにも名称を揃えましょう。

 

②性器を鏡で見る+性器の洗い方

 普段の落ち着いている状態の性器を覚えていないと異常があった際の比較対象が無くなります。それを防止するためや、洗い方の勉強のために鏡などで自分の性器を確認してもらいます。

 洗い方も男子だと、皮を向いて、優しく石鹸をつけて洗う

 女子だと性器の周囲は石鹸をつけて洗うけど、性器部分は暖かいお湯で流すなど、洗い方を教えます。

 

③自慰・マスターベーションについて

 行うことは悪いことではない。しかし、場所を考えてやることが大切。

 大雑把に場所を教えると・・・「お風呂はいいよ」→「温泉で自慰行為」

などになる可能性があるので、自宅のトイレやお風呂などの個室でやるよう指導。

  

④感染予防・性被害予防

 しっかり手を洗ってから行うように教える→感染症予防

 人前などではやらない→性被害予防

 

⑤ダメワード「はずかしい」

 みなさん、子どもが下着を履かなかったり、洋服を急に脱ぐと「恥ずかしいから洋服を着なさい」って言うことありませんか?このワードは禁止ワードです!!

 なんで禁止ワードなんでしょうか??

性被害者の子ども達が相談・通報できなかった理由として「恥ずかしかった」があります。この「恥ずかしい」は大人の「裸」=「恥かしい」=「ダメなこと」という概念から来ています。ずっと子ども達に「恥かしい」=「ダメなこと」を教えてきているので性被害にあった場合に「ダメなことをしてしまった」「恥ずかしいことをしてしまった」と自己嫌悪に落ちいてしまいます。

 

 なので、下着を脱いだりしたら「恥ずかしい」では無くて「大事なところだから、ちゃんと洋服さんを着けてあげてー」などと教えてあげてください!!

 

⑥ 「オナニーをしたらダメ」では無く「どこでならOK」

 「やってはいけない等」と怒るだけでは、怒られた人の前ではやらなくなるけど、場所を変えてやってしまう可能性があります。

 家で自慰行為を怒られる→家の近くの茂みなどに隠れてやる など

 

上記の場合、性加害者に見つかるとその場で性被害者になってしまう可能性あり。

 このようなことを防ぐためにもしっかりとやっても良い場所を教えましょう。 

 

 

今日のまとめ

性教育はしっかり教えないと、被害者・加害者になってしまう。

「恥ずかしい」を教えるのが性教育ではない!!

「やってはダメ」・「恥ずかしい」などマイナスの言葉かけではなくて、「ここなら良いよ」・「しっかり大事なところを守ろうね」などの言葉かけに変える!!