ことばの木 言語聴覚士の日記 ~障がい児との関わり~

~障がい児との関わり方や療育についてのお話し~

文字を書くために必要な能力・できる遊び

私は、発語が無い子の療育は文字を教えることが多いです。

 

なぜ、言葉より文字?かというと・・・

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脳機能 書字

            上記の絵はウィキペディアより

 

上記の黒〇が言葉の中枢(表出)で赤〇が書字をする際に使う場所です。前頭葉が言葉を表出する際に使用し、側頭葉は理解をするときに使用し、頭頂葉は文字を使用するときに使います。これで見ると、言葉の中枢と書字の中枢が近いですよね??

書字(話を聞いて書く)の場合は側頭葉で意味を想起してから前頭葉へ伝達され文字のの選択や配列を行い、次に頭頂葉に伝達されて運筆を行う。

脳機能の近い場所を刺激しながら、周りの脳を活発にさせようと考えています。また、文字を書く事は言語性IQより動作性IQを使うことが多いため、言語が苦手な子でも書けることがあります。

 

文字を書けるようになると、読めるようになるため絵本が読めるようになります。そうすると、絵カードや絵本の文字を読めるので、そこから言語面へのアプローチを行い発語に繋げます。

 

でも、すぐに文字を練習させるわけにもいけません!!

文字を書くためには、集中力や手の運動、目の運動が大切です。

なので、やっぱり運動が大事になり、運動を支える感覚面へのアプローチが大事になります。

 

書字に必要な能力

「書字ってただ頭で考えて書いているだけ」と私は思ってました。しかし、紐解いてみると沢山の動作、作業が出てきました。

 

まず、書いている文字が当たっているか、書く場所を確認するためなどの目の動き。

次にペンを掴んで動かすための腕・手の動作。

そして、ペン先を見る注意力や集中力です。

 

では、この動作をどのように作っていくのでしょうか?

今回は文字に繋げるためのアプローチや遊びを専門職の目線で紹介してみたいと思っています。

 

☆遊び編

1.カード探しゲーム(お宝探しゲーム)

 カードを部屋内に数枚貼り、見つけてもらう。見つけてもらったあとにカードの呼称を行う。カードの置く位置を変えることで運動機能へのアプローチにもなります。

(高い場所に置く、テーブルの下に置く、大人しか届かない場所に置くなど)

 

意味・解説

 カードを探す→集中力、目の動き

 カードを取る→目と手の協調、粗大運動、身長より高い場所にある場合は物を使って取らないといけないから、道具操作へのアプローチになる。大人しか届かない場所は言葉やジェスチャーなどを使用してアピールしないといけないためコミュニケーション面へのアプローチになる。

  カードの呼称:言語面へのアプローチ

 

2.パズル・型はめ:

 初めは型はめから行い、パズルは少ない数から初めてどんどんピースを増やしていく

 

意味・解説

 目と手の協調運動を養います。パズルのピースを増やすことで集中力も養えます!!

 

3.線なぞり・色塗り・点つなぎ

 鉛筆を使用する練習になります!!

 線なぞりはプリントキッズやちびむすドリルを使用してます。

 色塗りは好きなキャラクターを出します。

 

 

意味・解説

 運筆の練習をすることで平仮名やカタカナのなぞり練習の前段階を行います。

 色塗りを楽しく行い、鉛筆の楽しさを教え、線なぞりではなぞり線からはみ出さないようになぞることを教えます。

 点つなぎでは、点から点を結ぶことを覚えてもらい、線結び、点つなぎ両方を必要とする平仮名のなぞり書きに移行します。

プリントキッズ:https://print-kids.net/print/unpitsu/

ちびむすドリル:https://happylilac.net/hiragana-h.html

 

4.間違い探し

 これはちびむすドリルからダウンロードしています。

 間違い探しや文字探しを行うことで目の運動や集中力を養います。

 

5.風船バレー

 目と手の協調運動・目の運動などを養います。また、しりとりをしたり、語想起(果物や動物の名前の言い合いっこ)などを行うことで同時処理能力(2つ以上のことを同時にする力)を養うことができます。

 

☆勉強編

1.大きな平仮名の指なぞり

 公文の本や、ちびむすドリルなどになる、大きなA4~A3サイズの平仮名なぞりを使用します。私は指でなぞってもらうことが多いです(汚れないので・・・笑)

 

2.平仮名迷路

 先ほど話したサイトにある、平仮名迷路を使用します。目の運動や目と手の協調運動を行いながら平仮名の練習になり、なぞり・模写が行えます。

 

3.平仮名・カタカナプリント

 小学校で使用するようなプリントを使用し最終段階に入ります!!

 平仮名迷路やなぞりの時に復唱を促すと声を出す機会にもなるのでオススメです!!

 

4.文字は読めるのに発語が無い・少ない子

 出すタイミングがわからなかったり、どこかで失敗経験をして喋らなくなってしまったりしている可能性も考慮して進めます。

 果物や動物のなぞり書きや書字などを行い、音読・復唱をしてもらう。次に好きな果物や動物を聞くなど話を広げていき、発語の楽しさ、成功経験をしてもらうことで発語を促していきます。

 

このような療育を行い、私は文字を教えています。文字を教えることで本を読めるようになったり、小学校へ入学する際に良いアドバンテージになると思っています。勉強編はイヤイヤする可能性も考慮して、お家とかでは遊び編をやってみることもおすすめしますよ!!