文字を書くために必要な能力・できる遊び
私は、発語が無い子の療育は文字を教えることが多いです。
なぜ、言葉より文字?かというと・・・
上記の絵はウィキペディアより
上記の黒〇が言葉の中枢(表出)で赤〇が書字をする際に使う場所です。前頭葉が言葉を表出する際に使用し、側頭葉は理解をするときに使用し、頭頂葉は文字を使用するときに使います。これで見ると、言葉の中枢と書字の中枢が近いですよね??
書字(話を聞いて書く)の場合は側頭葉で意味を想起してから前頭葉へ伝達され文字のの選択や配列を行い、次に頭頂葉に伝達されて運筆を行う。
脳機能の近い場所を刺激しながら、周りの脳を活発にさせようと考えています。また、文字を書く事は言語性IQより動作性IQを使うことが多いため、言語が苦手な子でも書けることがあります。
文字を書けるようになると、読めるようになるため絵本が読めるようになります。そうすると、絵カードや絵本の文字を読めるので、そこから言語面へのアプローチを行い発語に繋げます。
でも、すぐに文字を練習させるわけにもいけません!!
文字を書くためには、集中力や手の運動、目の運動が大切です。
なので、やっぱり運動が大事になり、運動を支える感覚面へのアプローチが大事になります。
書字に必要な能力
「書字ってただ頭で考えて書いているだけ」と私は思ってました。しかし、紐解いてみると沢山の動作、作業が出てきました。
まず、書いている文字が当たっているか、書く場所を確認するためなどの目の動き。
次にペンを掴んで動かすための腕・手の動作。
そして、ペン先を見る注意力や集中力です。
では、この動作をどのように作っていくのでしょうか?
今回は文字に繋げるためのアプローチや遊びを専門職の目線で紹介してみたいと思っています。
☆遊び編
1.カード探しゲーム(お宝探しゲーム)
カードを部屋内に数枚貼り、見つけてもらう。見つけてもらったあとにカードの呼称を行う。カードの置く位置を変えることで運動機能へのアプローチにもなります。
(高い場所に置く、テーブルの下に置く、大人しか届かない場所に置くなど)
意味・解説
カードを探す→集中力、目の動き
カードを取る→目と手の協調、粗大運動、身長より高い場所にある場合は物を使って取らないといけないから、道具操作へのアプローチになる。大人しか届かない場所は言葉やジェスチャーなどを使用してアピールしないといけないためコミュニケーション面へのアプローチになる。
カードの呼称:言語面へのアプローチ
2.パズル・型はめ:
初めは型はめから行い、パズルは少ない数から初めてどんどんピースを増やしていく
意味・解説
目と手の協調運動を養います。パズルのピースを増やすことで集中力も養えます!!
3.線なぞり・色塗り・点つなぎ
鉛筆を使用する練習になります!!
線なぞりはプリントキッズやちびむすドリルを使用してます。
色塗りは好きなキャラクターを出します。
意味・解説
運筆の練習をすることで平仮名やカタカナのなぞり練習の前段階を行います。
色塗りを楽しく行い、鉛筆の楽しさを教え、線なぞりではなぞり線からはみ出さないようになぞることを教えます。
点つなぎでは、点から点を結ぶことを覚えてもらい、線結び、点つなぎ両方を必要とする平仮名のなぞり書きに移行します。
プリントキッズ:https://print-kids.net/print/unpitsu/
ちびむすドリル:https://happylilac.net/hiragana-h.html
4.間違い探し
これはちびむすドリルからダウンロードしています。
間違い探しや文字探しを行うことで目の運動や集中力を養います。
5.風船バレー
目と手の協調運動・目の運動などを養います。また、しりとりをしたり、語想起(果物や動物の名前の言い合いっこ)などを行うことで同時処理能力(2つ以上のことを同時にする力)を養うことができます。
☆勉強編
1.大きな平仮名の指なぞり
公文の本や、ちびむすドリルなどになる、大きなA4~A3サイズの平仮名なぞりを使用します。私は指でなぞってもらうことが多いです(汚れないので・・・笑)
2.平仮名迷路
先ほど話したサイトにある、平仮名迷路を使用します。目の運動や目と手の協調運動を行いながら平仮名の練習になり、なぞり・模写が行えます。
3.平仮名・カタカナプリント
小学校で使用するようなプリントを使用し最終段階に入ります!!
平仮名迷路やなぞりの時に復唱を促すと声を出す機会にもなるのでオススメです!!
4.文字は読めるのに発語が無い・少ない子
出すタイミングがわからなかったり、どこかで失敗経験をして喋らなくなってしまったりしている可能性も考慮して進めます。
果物や動物のなぞり書きや書字などを行い、音読・復唱をしてもらう。次に好きな果物や動物を聞くなど話を広げていき、発語の楽しさ、成功経験をしてもらうことで発語を促していきます。
このような療育を行い、私は文字を教えています。文字を教えることで本を読めるようになったり、小学校へ入学する際に良いアドバンテージになると思っています。勉強編はイヤイヤする可能性も考慮して、お家とかでは遊び編をやってみることもおすすめしますよ!!
発達障がい児への性教育
私が今まで働いている中で、月経が始まった子や公然の場で自慰行為をする子などがいました。また、思春期を迎える子や迎えた子に対しての性教育をどのようにするのかが課題になってました。性教育をしっかり行うことで、外での自慰行為の抑制や将来、体に変化が現れてもパニックにならない様になります。また、性虐待やイジメなどを受けにくくなったりもします。
性教育を正しく行うことでどのような変化があるのかを書いていきます。
※今回の記事はセクシュアリティな表現が含まれています。
では、なぜ性教育が必要だと思いますか?
それは、性虐待を防ぐためや、逆に性加害を防ぐためです。
え?障がいを持ってる子が性犯罪の加害者になるの?って思いました?
なんと被害者・加害者になるんです!!
では、下記の記事を見ていきましょう!!
まず、加害者になる話から
これは、問題行動を起こす理由の考え方と似てます。子どもは経験・体験してないことを行動に起こすことはほとんどありません。なぜ、人を殴ったり、文句を言ったりするのかと言うと、生活の中や動画、TVなどで見て学んでいるのです。
体験学習 → 行動化
人を殴る動画をみる → イライラした時に人を殴る
上記の様に、性についても大人から正しい知識を習わないと、何かしらの情報を鵜呑みにして、実際に行動してしまう可能性があるのです。
体験学習 → 行動化
レイプの動画を見る → レイプをする
今の時代、スマホやパソコンですぐにAVなどの動画を見れる時代です。またその中には強姦などの犯罪まがいのシーンを写しているものや、そこから恋愛に発展するなどと現実離れした話が含まれていることがあります。
それを見て、「これが恋愛なんだ!!」「こんなことで女性は喜ぶんだ」と思ってしまい実践するのです。本人はこれが正しいと純粋に思って行動してしまい、警察に捕まることもあります。
このようなことを防止するためにもしっかりと性教育を行いましょう。
ちょっと横道に逸れます。
性虐待を防止するための話です。
日本の性被害者ってどのぐらいいると思いますか?
内閣府の調査では、女性は7.8%、男性は1.5%とされています。
この中で、未成年の被害者は女性約40%、男性約51%です。
次に加害者との関係性は知らない人約12%、18歳未満の被害者は監護者(親や身近な人)約23%といった内容で、年齢が低くなるほど知ってる人が加害者の割合が増えていきました。
しかし、これはアンケートに答えられる人の結果で、知的障がいなどがあり、アンケートに答えられなかった人が沢山いる可能性があります。
また、性被害にあっても人に相談できないことがあります。それは、「その話をすることが恥かしい」や「口止めされてる」、「心配をかけたくない」などがあります。この中でも「心配をかけたくない」が一番多いそうです。
なぜ、「恥ずかしい」と思ってしまうのでしょう?なぜ、性被害にあってしまうのでしょう?これも、性教育をしっかりできてないからなのです!!
では、なぜ、適切な性教育を行うことで性虐待の防止になるんでしょうか?
今回の性教育のやり方は、科学的な観点や医療的な観点を使用して行います。それを行うことで、身体への関心を引き出し、身体の自尊感情を育てることができます。
身体への関心を引き出す→自分を大切にしたいと思う
身体の自尊感情を育てる→イジメ、性虐待を受けにくくなる
また、悪い大人の間違った情報を受け入れない様に教えます。「好きな人は体の関係を持つことが当たり前なんだよ」など
しっかりと性教育を行うことで被害者や加害者になることを防ぎます。
では、どのように教えていったらいいのでしょうか?
まず、お話をする前に「今から大切なお話をするんだけど、お医者さんになって聞いてみて!!お医者さんは体のことを沢山勉強しないといけないから、エッチな言葉でも笑わずに聞くんだよ!!」のように、真面目に聞くように促します。
①プライベートゾーンの名称は学校や家でも揃えるようにしましょう。
障がいを持っている子は同じ場所なのに違う名前(胸→おっぱい等)だとパニックになります。それを防止するためにも名称を揃えましょう。
②性器を鏡で見る+性器の洗い方
普段の落ち着いている状態の性器を覚えていないと異常があった際の比較対象が無くなります。それを防止するためや、洗い方の勉強のために鏡などで自分の性器を確認してもらいます。
洗い方も男子だと、皮を向いて、優しく石鹸をつけて洗う
女子だと性器の周囲は石鹸をつけて洗うけど、性器部分は暖かいお湯で流すなど、洗い方を教えます。
③自慰・マスターベーションについて
行うことは悪いことではない。しかし、場所を考えてやることが大切。
大雑把に場所を教えると・・・「お風呂はいいよ」→「温泉で自慰行為」
などになる可能性があるので、自宅のトイレやお風呂などの個室でやるよう指導。
④感染予防・性被害予防
しっかり手を洗ってから行うように教える→感染症予防
人前などではやらない→性被害予防
⑤ダメワード「はずかしい」
みなさん、子どもが下着を履かなかったり、洋服を急に脱ぐと「恥ずかしいから洋服を着なさい」って言うことありませんか?このワードは禁止ワードです!!
なんで禁止ワードなんでしょうか??
性被害者の子ども達が相談・通報できなかった理由として「恥ずかしかった」があります。この「恥ずかしい」は大人の「裸」=「恥かしい」=「ダメなこと」という概念から来ています。ずっと子ども達に「恥かしい」=「ダメなこと」を教えてきているので性被害にあった場合に「ダメなことをしてしまった」「恥ずかしいことをしてしまった」と自己嫌悪に落ちいてしまいます。
なので、下着を脱いだりしたら「恥ずかしい」では無くて「大事なところだから、ちゃんと洋服さんを着けてあげてー」などと教えてあげてください!!
⑥ 「オナニーをしたらダメ」では無く「どこでならOK」
「やってはいけない等」と怒るだけでは、怒られた人の前ではやらなくなるけど、場所を変えてやってしまう可能性があります。
家で自慰行為を怒られる→家の近くの茂みなどに隠れてやる など
上記の場合、性加害者に見つかるとその場で性被害者になってしまう可能性あり。
このようなことを防ぐためにもしっかりとやっても良い場所を教えましょう。
今日のまとめ
性教育はしっかり教えないと、被害者・加害者になってしまう。
「恥ずかしい」を教えるのが性教育ではない!!
「やってはダメ」・「恥ずかしい」などマイナスの言葉かけではなくて、「ここなら良いよ」・「しっかり大事なところを守ろうね」などの言葉かけに変える!!
海遊びで療育
今回は私が大好きな海での療育のお話をしたいと思います!!
私は本職とは別に海での療育を行っています。
え?海での療育って何? どんな効果があるの?って話を説明しようと思います。
~マリンプログラム~
私がお手伝いに行っている施設での海の療育はstand up paddle board(以下SUP)やカヌーを使用する療育や、ビーチで魚を捕まえたりする療育を行っています。
SUP:まずSUPとは最近流行ってる海のアクティビティで、サーフボードの様な物の上に乗ってオールの様な物を使用して漕ぐアクティビティです。
カヌー:ボートの上に乗ってオールを使用し漕ぐアクティブティです。
ビーチ散策:ビーチでカニやシーグラスを探したり、シュノーケルを行いながら魚を捕まえたり、釣りをしたりします。
では、どのような効果があるのでしょうか・・・
☆SUP:SUPに乗るためにはバランス能力や、漕ぐための運動企画が必要になってきます。バランスを取るためには前庭覚が必要で、漕ぐと固有受容覚が入り、行きたい場所を確認するため視覚を使用し、水に入るため触覚が感覚として入ります。このように、色々な感覚を一度に入れることができます。
☆カヌー:基本的に入る感覚はSUPと同じですが、安定感が違うため、バランスが取れない子や、麻痺がある子を乗せたりします。
☆ビーチ散策:岩場を歩く時に使うバランス能力、海に落ちないようにや、怪我をしないようにする危険認知、生物の多様性や、命の大切さの勉強、海水の触覚、海やバランスの取りにくい砂場で歩くときに入る固有受容覚、鳥の鳴き声などを聞く聴覚など、色々な運動能力や認知力、感覚が入ります
☆項目別
①身体機能:基本的に岩場や足元が見えない場所での行動をすることが多いため、運動企画向上や、姿勢平衡反応が養えます。また、SUPやカヌー等の操作を行うことで、手と目の協調性や身体両側の協調性の向上や力のコントロールを養えます。
②感覚機能:海や砂浜では、砂や水などの触覚、波などの前庭感覚、オールを漕ぐときや水の中で歩くときの固有受容覚、魚などを目で追う視覚、水の音や鳥の声などを聞く聴覚などいろいろな感覚が入ってきます。感覚を入れることで運動や情緒の反応を向上させます。
③コミュニケーション能力:集団で行動するときや、スタッフとの関わりの中で協調性や自己制御機能を育んだり、行きたい場所などをアピールする時に、自己表現能力を育むことができます。
④精神機能:海で浮かんで、リラックスすることで副交換神経優位になり、ストレスの軽減につながります。他には、色々なアクティビティにチャレンジすることで、自己肯定感の向上にもつながります。
次にどのような子がどのように反応するのかを事例で出したいと思います。
①多動
私が関わっている多動の子は、室内では動き回って止められなかったり、衝動性が強くて、すぐに物を触ったり人に手が出ることがありました。しかし、ビーチに出ると、転ぶのが怖いのか、ゆっくり歩いたり、スタッフとしっかり手を繋いで行動することができてます。SUPでは、スタッフが少しでも離れたらすぐにスタッフを呼ぶなど一人で勝手にどこかに行く行動が減少しました。
感覚が全般的に鈍麻な子が、海に入ると刺激が沢山入ってきて嬉しそうにテンションが上がったり、陸では中々見られない景色や感覚が入るため表情が豊かになったり、声が出ない子が声を出したりします。また、海に落ちるのが怖いのか、人と距離を取る子がスタッフにくっついたりします。また、他児と一緒に水を掛け合ったり、魚を一緒に捕まえるなど集団で遊ぶこともあります。
③ダウン症
ダウン症の子は筋力が弱い子が多いです。マリンプログラムを行う中で、SUPやカヌーから落ちないようにバランスを取ったり、波に流されないように踏ん張ったりするので、無意識に筋力トレーニングができます。また、集団遊びも参加して遊ぶことができます。
④ことばが出ない子
私が良く行うアプローチの中で、SUPに乗せてバランスを取ってもらいながら、行きたい場所を指示してもらい行くようにしてます。指差しや声を出してもらったり、相槌を打ってもらうなど、子によって対応は変えます。行きたい場所がある子は頑張って指示をします。指示した場所に行ってもらうことで成功体験を経験してもらい、人と関わる第一歩になり、そこから言葉が出るようになることもあります。
海遊びのリスク
海で療育・遊ぶ際にはリスクがあります。急にどこかに行ったり、予測してない行動を起こしたりします。そのため、目を離さないこと、すぐに助けれる場所にいること、危険な生物はいないかの確認、怪我などの手当のやり方を覚えているのも良いと思います。
※最後に、海で遊ぶ・療育する際の注意点を書きます。
①怪我の可能性
海は非日常な場所です。足元も見えないこともあるし、鋭い石や貝、ゴミなどがあるところです。そのため、転んだり、転びそうになって手を着いた時に怪我をすることもあるので、滑る場所には極力行かない。カメノテなどの鋭い貝や岩がある場所も注意しましょう。
②危険生物
クラゲやカサゴ、オニダルマオコゼ、ウミヘビなど毒のある危険な生物やウツボの様に噛まれてしまう危険生物がいるので、岩場や海などでシュノーケルや海水浴をする際は周りを見渡すのと、できたらゴーグルで海底の確認をして安全な場所で遊びましょう
③目を離さない
急に動き回ったり、目を離しただけでいなくなることがあります。なので海では目を離さないようにしましょう。
④安全管理
私が海で療育をする際はマリンシューズ・ライフジャケットを着用することを絶対にやってもらってます。また、長い袖の水着、ラッシュガードなども着用して怪我をしないように気をつけましょう。
海では、遊んでいるだけでも色々な感覚が入ってきます。そこに療育視点をプラスし、遊びを広げたり、入れてあげたい感覚を入れるだけで成長の手助けになると思います!!
以上、海遊び・療育のお話でした!!
質問や、こんなことを書いて欲しいなどあったらコメントやtwitterもやっているのでコメント、DMをください!!
twitter:@ST3155383
動き回る子、手が出る子 ~感覚面からの視点~
よく、保護者から質問されることが
「うちの子多動で目が離せない。どうしたら良い?」
「よく学校で喧嘩して問題を起こす」
「何を考えて行動しているかわからない」
などの質問をよく聞きます。
では、なんで動き回るのか、喧嘩をしてしまうのか
これを私なりの視点で解説できたら良いと思います。
まず、今回も感覚の話がメインになるので、前の記事の感覚面についてを読んでたらわかりやすくなると思います。↓
記事:感覚統合ってなに?
https://okikotoba.hatenablog.com/entry/2019/10/08/214425
まず、多動の子について考えてみましょう。
みなさんがイメージしてる多動の子は動き回って止まらない。ってイメージが多いかもしれません。
では、なぜ動き回るのでしょうか。
私が見てきた子は下記のような理由がありました。
①目に入ったものが気になって
私が療育している中で、低年齢に多い理由がこれだと思います。子どもが小さい頃は目に入ったものに興味を持って急に道に飛び出したりしますね。それと止められて親に叱られて危ないことだと気づきます。
しかし、障がいを持っている子は危険な場面に遭遇する前に止められてしまうため「何が危険だったの?僕怪我してなよ?」と考えていることもあります。
また、感覚面の視覚が過敏で周りの者が全部入ってきてしまうことも注意が散漫になる理由になり、いち早く危ないもの(走ってる車・崖など)を見つけることができず怪我をしてしまうのです。
②倒れそうになるから・・・
私も話を聞いたり文献を読んで驚いたのですが、多動な子は定型発達児より、筋緊張が緩いことがわかりました。
筋緊張が緩いということは体幹を保持できず、姿勢を保持できない場合もあります。そのため筋緊張を入れて姿勢を保持したいために動き回ることがあるのです。
③ぐるぐる回るのが楽しいから
感覚に凸凹がある子は入りにく感覚(鈍麻)を入れるため、色々な行動に行います。固有受容感覚が鈍麻な子はドンドン歩いたりします。前庭感覚が鈍麻な子はぐるぐる回ることがあります。
なので、何も考えずに回っているわけでは無いので、ショッピングモールなど人前で回ってしまう場合は、ショッピング前にグルグル回すことや、前庭感覚が入る遊びを行ってあげることで予防できることがあります。
次に、動き回る子に私がどのような療育を行っているのか紹介します。
1.くるくる回る子には前庭感覚を入れる遊び
前庭感覚を入れる遊びでは、ジェットコースターをイメージする遊びや、回転遊具をイメージする遊びを行ってます。例えばキャスター付き椅子を使用して走り回ったり、くるくる回る椅子を使用してくるくる回します。ただ、リスクが伴うのと、家ではなかなかできないので、ほかの遊びも紹介します。
①抱っこして一緒にぐるぐる回る遊び
大人の方が回るのが早いのと、遠心力がかかり固有受容感覚も一緒に入るので沢山の刺激を入れることができます。
②芝すべりなど、ジェットコースターを模した遊び
私が住んでいる沖縄にはジェットコースターが無いので、芝すべりなどをやらせます。早く進むのと、自転車みたいに道を使わないので勝手にどこかに行ってしまう心配が無いので、安心して感覚を入れることができます。(転倒には注意してね!!)
③海遊び
私は療育でマリンプログラムを行っています。海では波に揺れる前庭感覚、波に負けないように力を入れる固有受容覚、水の冷たさや洋服がくっつく感覚の触覚、魚を探す視覚など色々な感覚が入るのでオススメです!!
④公園遊び
公園では、遊具で遊ぶことで感覚を入れることができます。例えば、滑り台は前庭感覚、はしご遊具は固有感覚などが入ります。また、自然と触れ合えるので身体が強い子に育つと思います!!
こんな感じで私たちの周りには前庭感覚を入れれる遊びが沢山あるので、みなさんも探してみてください!!!
では、次に手が出る子についてお話したいと思います。
手が出る子はなぜ手が出るのでしょうか?
何かむかついたことがあるから?喧嘩がしたいから?何も考えずに殴ってしまう?
私が関わってきた中で聞いたことがあるのが、「相手に何かされてむかついたから」、「殴ったつもりではない」「わからない」などがありました。
①相手にむかついたから
子ども達の喧嘩で一番多い理由ですね。ただ、発達に遅れがある子は衝動性を抑えきれず、考える前に手が出てしまいます。また、感覚に凸凹があり固有受容覚が鈍麻な子は軽く叩いたつもりでも、すごく強いことがあります。
②殴ったつもりではない
先ほど話した、感覚の凸凹が起因する事例です。軽く叩いたつもり、強く叩いてないと言うけど、傍からみたら強く殴ってるじゃん!!ってなることがあります。本人はそのつもりが無いにしても、本当に怪我をさせる可能性があるため、注意が必要です。
③わからない
私も初めて聞いたときは「何言ってるの?」ってなりました。しかし、子ども達から話を聞いたり、障がいを勉強していくと衝動的に手が出たり、周りを見えてなくて、ぐるぐる周り手が当たるなどの可能性が考えられました。また、ボディーイメージの苦手さで、体の大きさ、手の長さ、足の長さがわからずぶつかったり手足が当たってしまうこともあります。
上記の子に対する療育は固有受容覚やボディーイメージの苦手さがある子が多いので、そこにアプローチする療育を紹介していきたいと思います。
①固有受容覚
固有受容覚とは力を入れるときに使う感覚です。そのため、力を入れる遊びを行います。私はバランスボールでドッチボールを行ったり、メディシンボール(3キロぐらいのボール)を使用してしりとりキャッチボールを行ったりします。固有受容覚を入れることで、その後落ち着いた行動ができるようになったりします。また、運動を行った後に、瞑想など落ち着いたことを行うことで集中力が上がると言われています。
②ボディーイメージ
体のイメージができていなく、どれぐらい手を伸ばしている?などがわからないことが多いです。ボディーイメージを付ける練習として、真似っ子ゲームをしたり、ボルダリング・ツイスターなどを行います。体のイメージをする遊びを行うことが大事です。
簡易的な評価として、人の絵を書かせると良いです。イメージができない場所が小さくなったりします。なので、手先が不器用な子は指が無かったり、足のイメージが弱い子は手が大きく、足が小さかったりします。足のイメージが弱い子にサッカーをした後に絵を書かせると足が上手に書けるようになりました。
③衝動性
オニゴッコをやって次にトランプなど初めに沢山動く遊びを行い、その後静かにする遊び を行ったり、ビーチフラッグ・カルタなど合図があるまで動けない遊びを行ったりします。前者は動くことをニーズとしている子が多いので楽しいこと→課題の順で行うことで長続きすることがあります。後者は静と動が一体型の遊びなので本人は気づかない間に我慢を覚えることができます。衝動性は前頭葉が制御してるので、前頭葉を使用する運動系の遊びを行いながら止まる練習を行います。
まとめ
私たちが理解できない行動でも、必ず理由があります。その理由を見つけることでアプローチを的確に行え、保護者などの安心感、本人の安心感につなげることができると思います。なので、なんで急にどっかに行くの?なんで手が出るの?と思ったら、子どもの話を聞いたり、動く前のできごとを思い出してみてください。ヒントが隠れているかもしれません!!
感覚と運動とコミュニケ-ション
前の記事で感覚のお話をしたので、それがどのように運動やコミュニケ-ションに繋がっているのかをお話したいと思います。
前の記事【感覚統合とは?】 https://okikotoba.hatenablog.com/entry/%E6%84%9F%E8%A6%9A%E7%B5%B1%E5%90%88
画像を見てください!!感覚と運動・コミュニケ-ションがブロックピラミッドになってますね!!これが、感覚とほかの機能の繋がりを示してます。基盤の積み木が凸凹だと、上に積まれた積み木も安定しませんね!!
これを細かく話していきたいと思います。
人は、正しく体を動かし、正しく感じることで、色々な情報を得たり、働きかけができるようになります。
では、正しく動くには?正しく感じるには?どのようなことが必要なんでしょうか。
①感覚と運動の関連性
人は重力の中で体を支えることで、自分の体を思い通りに動かせる準備ができます。
そのため、重力に逆らうための力が必要です。イメージとしては、背もたれがない椅子にしっかりと座るイメージです。体幹が弱い子は自分の体を保つことができずに椅子から落ちてしまいます。
では、椅子にから落ちないようにするためにはどのような機能が必要なんでしょうか?
①自分の体のイメージ力。
②バランス
③体幹などの筋力など
私は大きく分けて上記の3つが必要だと考えています。
運動系が必要なことはわかったけど、感覚との関連ってあるの?って思いますよね?
まず①で必要な感覚は固有受容感覚。②で必要な感覚は前庭覚。③で必要なのは固有受容感覚などが挙げられます。
ではでは、どのように関係しているかを簡単に説明しますね!!
①、③に挙げられた固有受容感覚は筋・関節の感覚と前のブログでお話しました。この感覚はどのように体を動かしているのか、どれぐらい力を入れようか?を確認・調整する感覚でもあります。そのため、この感覚が鈍麻だと力を入れきれなくて、椅子から落ちたり、体のイメージができず、凄く背もたれにもたれかかり力が入ってるような変な姿勢になってしまいます。
②に挙げられた前庭覚はバランス機能の感覚です。これが鈍麻だと、自分が傾いていることに気がつかず倒れてしまうことがあります。
このように運動と感覚は密接な関係があり、感覚が凸凹の子は運動が苦手なこともしばしばみられます。
なので私は感覚を重視して評価しています!!!!
②運動と言語の関連性
次は運動と言語関連性です。
私は保護者に運動と感覚の大事さを説明する際に乳児の発達のお話を良くします。
「あかちゃんの頃は、首が据わって、ハイハイして、つかまり立ちして、歩く。歩き出した頃に単語って喋り始めますよね~」
このように人は立つことにより胸郭を最大限使えるようになり、また喉や口腔など発音に必要な機能をうまく使えるようになります。
他には、「せんせい」を「てんてい」と言う発音が苦手な子がいます。そのような子は手先が不器用だったり、運動が苦手な場合があります。
え?それって運動と関係あるの?って思いますよね?それを説明したいと思います。
上の画像はホムンクルスと言って、人の感覚を司る脳の場所(右側)、運動を司る脳の場所(左側)を示しています。
左側の運動の図を見てください。口と指先の運動と司る脳機能部分ってすぐ上にありますね!!
私は、脳の局在(機能部分)が近いため手先の不器用さと発音は関連してると考えています。これは、文献でも発表されています!!
なので私が行う発音の訓練は60分のうち、運動が40分、発音の訓練が20分と運動に力を入れることが多いです。
運動・感覚遊び時間は、手先が不器用な子は粗大運動(走ったり、跳んだりする基礎運動)、粗大運動が苦手な子は感覚遊び(感覚の過敏・鈍麻の軽減)を行っています。
まとめ
①感覚と運動は密接に関わっていて、感覚に凸凹がある子は運動するための基盤を作れないことがある!!
②乳児の発達をイメージすると、運動ができるようになって言葉が出始める!!
③発音と運動は密接に関係している!!
以上、感覚と運動とコミュニケーションの関係性についてでした!!
どのような遊び、訓練をしているかは次の記事で書きたいと思います!!!
質問や書いて欲しい内容などお待ちしてます!!!
感覚統合療法ってなに??
今回は私が療育で活用してる感覚統合を紹介します。
感覚統合ってなに??
人には感じることができる感覚がいくつかあります。この感覚に凸凹があると運動やコミュニケ-ションに問題が出てしまうため、幼少期のうちに感覚の凸凹を少なくしようという理論です。
感覚統合で見ている感覚は大きく分けて5つ!!
①触覚(触る感覚)
②前庭感覚(揺れる・回る感覚など)
③固有受容感覚(関節・筋の感覚→体を動かす時に使う感覚・力加減の感覚など)
④視覚(見る感覚)
⑤聴覚(聞く感覚)
感覚は人それぞれ、感じ方の差があります。例えば温度の同じ食べ物を食べても、「熱い」と感じる人と「熱くない」と感じる人がいますね!!このように、人は一人一人感じ方が違うのです。
生活をしていると、光や音、揺れ、触る感覚など色々な感覚が入ってきます。私は脳で入ってくる感覚を分類、整理することができるのです。
周りの人に猫舌の人などいませんか?これは一種の過敏です。障がいを持っている子は上記に書いた感覚が過敏(猫舌・明るい場所が嫌い)だったり、鈍麻(くるくる回っても目が回らない、力加減がわからない)といった感覚の凸凹がある子が多いです。
では、もう少し詳しくお話してみます。
出典:発達障害のキホン
上の画像で見ると、感覚って基盤部分にありますよね?
実は運動が苦手な子、コミュニケ-ションが苦手な子は感覚に凸凹がみられることがあるのです!!! (細かい話は別の記事に書きます。)
なので、私は療育をする前に、保護者に聞き取りを行ったり、お子さんの行動をみて感覚の評価を行っています。
日本感覚統合インベントリーが提供してるJSI-Rや、日本文化科学社が発売してる感覚プロファイルを使用しています。
日本感覚統合インベントリー http://jsi-assessment.info/index.html
日本文化科学社 https://www.nichibun.co.jp/kensa/detail/sp.html
個人的はJSI-Rが使いやすいですが、日本感覚プロファイルは細かく評価するこができます。
ではでは、感覚に凸凹がある子はどのような行動を起こすか書いてみます。
①触覚過敏・鈍麻
触覚は体の先端(胸郭を中心とする)に行くにつれて敏感になっています。なので、足裏や指、手のひらなどは感覚に敏感です。体でいちばん敏感なのは舌と言われています。
過敏な子は極端に触られるのを嫌がったり、つま先立ちをしています。触れられるだけで痛いと感じる子もいるため注意が必要です。
逆に鈍麻な子は、触られていることに気づかなかったり、怪我をしても気づかない子もいます。
②前庭感覚過敏・鈍麻(回転・揺れなどを感じる感覚)
内耳と一緒の場所にある、半器官という場所で感覚を感じています。
過敏な子は、少しの揺れでも怖がったり、少し揺らしただけで酔って嘔吐してしまう様子がみられます。
逆に鈍麻な子はずっとクルクル回っている様子などがみられます。鈍麻な子は自分の体がどれぐらい傾いているかも感じられないため、平均台ですぐに落ちたり、転びやすいことがあります。
③固有受容感覚鈍麻
聞きなれない言葉が出てきましたね!!笑
これは関節や筋が感じる感覚と言われています。←どういうこと??って感じですよね!
簡単にいうと、力をいれる感覚、体を動かす時に使う感覚です。
例えば、腕を肩の位置まで上げてくださいと言われたらあげれますよね?固有受容感覚が鈍麻な子は腕を上まで上げたりします。
鈍麻な子の特徴。本人は軽く叩いたつもりでも100%の力で叩いてしまったり、体を上手に動かせないため、運動が下手くそになったりします。また、ドンドンと音を立てながら歩く子どももいます。
この子達は1番怒られることが多い印象があります。なので、もし暴力とか振るっている子は、この感覚がしっかりインプットされてるのか評価してあげるものいいかもしれないですね。
④視覚過敏
自閉症の子のイメージとしてよく使われますね。明るいところを嫌がったり、サングラスを着けないと外に出られないことがあります。また、見える刺激が全部気になりキョロキョロして注意散乱しているようにみられます。
⑤聴覚過敏・鈍麻
これも自閉症の特徴でよく紹介されますね。過敏な子はザワザワしている場所でパニックを起こしたり、他児が大声を出すと怒り出すなどの様子がみられます。
逆に鈍麻な子は、呼びかけに答えなかったり、音に反応しないなど難聴かな?と思われる様子がみられます。
凄く簡単に感覚のお話をしたのですが、どうでしたか~?
わからないことはコメントに質問してください。それに対して返信や記事を書きたいと思います!!
まとめ!!!
感覚統合でみている感覚は大きく分けて5つあるよ。
感覚には過敏と鈍麻があって、それぞれ特徴があるよ。
運動・コミュニケ-ションの基盤に感覚があるんだよ!!
感覚をあまくみないで、しっかりアプローチしよう!!
障がい児と関わっている言語聴覚士
沖縄で言語聴覚士をしてます!!
自分自身、診断はもらってないのですが、社会性が低かったり、吃音のような吃りをもったりしてます。また、小学生時代、不登校を経験しています。
無資格時代から合わせて5年ほど障がいを持った児童と関わってきて、関わり方がわからないスタッフや保護者を見てきました。
☆自分自身を評価した専門的観点、社会性を指摘された時の感情や気持ち、不登校時代の話、登校を再開したきっかけなど主観的なお話。
☆言語聴覚士として今まで行ってきた療育のお話。
☆指導員・言語聴覚士として関わってきた中で保護者の方やスタッフから質問を頂いたことなどを書いていきたいと思っています。
☆私が行っている言語聴覚士としてのお仕事☆
言語面への療育(絵カードを使用するなど)
ABA理論を用いた遊戯療育
感覚統合理論をモチーフにした運動遊び
構音訓練(発音の訓練)
就学時への運動アドバイス(やりたいスポ-ツを一緒にトレーニングする)
教育現場へのアドバイス
保護者への関わり方のアドバイス
記事①感覚統合とは?https://okikotoba.hatenablog.com/entry/%E6%84%9F%E8%A6%9A%E7%B5%B1%E5%90%88
記事②感覚と運動とコミュニケーション
記事 海の療育・海遊び
https://okikotoba.hatenablog.com/entry/marine.program
質問や書いてほしいことなどはコメントしてください!!!!